「職場の駐車場から子猫の声がする。」
様子を見に行った女性は母猫もいたため様子を見ようとシャッターを閉めたところ、生後間もない子猫が落ちてきました。
天使のような可愛い子猫。
しかし子猫にはすでに失っていたものがありました。
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落ちてきた子猫
岸さん(54歳)は介護事業所「ハンド・イン・ハンド」で事務員として働いています。
ある日駐車場の2階の倉庫付近から子猫の泣き声が聞こえました。
社長と一緒に様子を見に行くと母猫もいる模様。
「様子を見ましょうか。」とシャッターを下ろすとそこに落ちてきたのは黒い子猫でした。
落下による怪我はありませんでしたが、黒猫の脚にはひも状の物が巻き付き、左の後ろ脚は皮一枚でつながりぶらぶらしています。
岸さんは慌ててタオルに包んで動物病院に駆け込みました。
獣医さんに診てもらうと黒猫の脚に絡みついていたひも状の物はへその緒。
出産時にたまたま起きた事故だったようです。
「先生の見立てでは生後2週間。ぶらさがった脚は切って縫合してもらいました。」(岸川さん)
岸さんが黒猫を連れて行っている間に会社では駐車場の2階を捜索。
そこにはさらにあと2匹、三毛猫が壁に挟まっていたという連絡が入りました。
「その時、たまたま待合室にいた小川さんという猫好きな方が、一緒に会社まで来てくださいました。
日ごろから猫の保護もされていて、私の様子をみて心配してくださって……」
その後一緒に2匹を連れて病院に戻り、3匹の姉妹猫は先生に診てもらうことになりました。
三毛猫の1匹はやはり後ろ脚がありませんでした。
黒猫同様へその緒が巻いて切断されたんだろうとのこと。
ももの辺りから下がなく切断面はすでに乾いていたので未処置で済みました。
もう一匹の三毛猫は体も大きく元気でした
一番身体が小さかった黒猫は肺炎も起こしており入院が必要な状態。
実は岸さんは去年も子猫を見つけましたがとても弱っていて、ミルクをうまく飲ませることが出来ずに死なせてしまったという経験があります。
そのため岸さんは三毛猫2匹を連れて帰るか迷っていました。
その話を聞いた小川さんは「うちで預かりましょうか」とボランティアを引き受けてくれます。
黒猫は『うに』、脚がない方の三毛猫は『ララ』、体の大きな三毛猫は『小町』と名付けられました。
社長が鳴き声を聞きつけ、岸さんが病院に運び、うにちゃんは看護師とボランティアが数時間おきにミルクをあげて…。
善意のリレーでつながれた命。
一番身体が大きな小町ちゃんはすぐに会社の関係者に譲渡が決まったそうです。
「うちには4歳の先住猫メイがいますが、“うにとララを引き取りたい”と思っていました。迷いもありましたが……」
障害があっても元気
うにちゃんとララちゃんを引き取ろうか迷っていた岸さんでしたが、現在は2匹とも連れて帰り元気に遊びまわっているそうです。
1日だけ譲渡前の小町ちゃんを預かり3姉妹が揃ったときにはハイテンションで遊んでいたとか。
「3匹いた時に気づいたのですが、小町のように、2匹はジャンプができない。
少し高いところに乗る時は、前脚で懸垂のよう体を持ち上げるんです。」
と話す岸さん。
しかしそれ以外は他の猫と何ら変わりはありません。
2匹が抱き合って寝ていると本当に可愛いんだそうです。
これは癒されますね。
岸さんのお宅では4年前に長男が、今年の春に次男がそれぞれ家を出たそうです。
そのため夫婦と先住猫のメイちゃんだけになり室内が静かでした。
そんな中、まさしく天から降ってきた子猫のおかげでまたにぎやかさを取り戻したとのこと。
「夫婦の会話も増えましたね。食事の準備をしている時など、主人が危なくないように子猫をみてくれるので助かります」
優しい人たちの手でつながれた3匹の命。
温かな目に見守られながら今日も2匹は元気に遊んでいます。