ペットブームが続いている中国。
「盲箱(ブラインドボックス)」という方法で、生きた動物を購入するニーズが急拡大しているといいます。
『盲箱』というのは購入するまで中身がわからない、日本で言う『福袋』のようなものです。
生きたまま箱に詰められたペットたち。
箱に入れられ空輸で長旅を強いられた犬や猫の赤ちゃんたちはどうなっているのでしょうか。
病気や窒息、飢えで亡くなった赤ちゃんたち
薄汚れたトラックの荷台に、うずたかく積まれた小さな箱。
その中に『ペット盲箱』として入れられた犬や猫の赤ちゃんたちがいます。
中を開けてみるとおびただしい数の犬や猫の赤ちゃんたち。
鳴き声が響き、悪臭が漂う中、亡きがらとなった姿も……。
ANN NEWSでこのようなおぞましい事件が報道されました。
3日、中国南西部・成都市の倉庫で撮影された映像。
多くの宅配物が積み重なっている箱の中に入っていたのは、177匹の子犬や子猫でした。
動物愛護団体が箱に入れられた状態の犬や猫を配送業者の拠点で発見したということです。
貨物室には子犬や子猫の「悲鳴」が響き渡っていたとのこと。
飢えなのか窒息なのか原因はわかりませんが、177匹のうちの一部はすでに死んでいたといいます。
「臭くてたまらない、糞や尿も加わり、さらに臭かった。雨が降ったため死体はぬれていました」(ボランティア)
生きていても衰弱がひどく感染症にかかっていて、病院に送られたそうです。
中国人の国民性にマッチした『ペット盲箱』
当初玩具からはじまった盲箱(福袋)ブーム。
そのうち飲食、コスメ、書籍と多くのジャンルに広がり、最近では『大人のおもちゃ盲箱』や『偽物ブランド盲箱』などのアングラモノが登場しています。
そして空前のペットブームを背景に現れたのが、生きたペットが入れられた『盲箱」だったそうです。
『盲箱』というのは購入するまで中身がわからない、日本で言う『福袋』のようなもの。
これが、ギャンブル好きな中国人の国民性にマッチしたのでしょう。(香港在住のジャーナリスト)
しかし、中国の郵便法では生きた動物を宅配便で輸送することは違法です。
ところが民間航空規則では、送り主が『予防接種記録』や『健康証明書』などの必要書類を手配し、認可されたペット輸送用の梱包材を使えば動物を飛行機で輸送できてしまいます。
そういった法律の盲点を突き、各地からペットを空輸。
それを独自のルートで販売しているそうです。
とはいえ、ろくに餌も与えず犬や猫の赤ちゃんに長旅をさせることに。
そのため途中ストレスや病気で亡くなってしまうケースも多く、トラブルが後を絶たないといいます。
したがって多くの業者がウリ逃げしようと『交換返品不可』と表示しています。
多くが売れないペットや弱っているペットを『盲箱』といった名前で売り出しているため、検疫をしていないケースも多い。
つまり、消費者に対しての衛生上の懸念がある。(香港在住のジャーナリスト)
SNSの微博(ウェイボー、Weibo)ではペットの盲箱の不買運動の呼び掛けが広がっています。
あるユーザーは
「ペットは、かわいいノベルティーグッズでも、飽きたら捨てられるおもちゃでもない。ペットのブラインドボックスには、中国社会がより恐ろしく狂ったものになっていると感じる」
と書き込みました。
ペット盲箱を運んだ物流会社は謝罪し、成都の支店に「包括的な自己点検」と「配送安全教育」を行うよう指導したことを明らかにしました。
国民性で倫理観が違っているとは到底思えません。
これ以上小さな命が粗末にされないように願うばかりです。