アクアリウムを楽しむうえで、水槽の美しさを保つことはとても大切です。水槽に付くコケや食べ残し、フンやぬめりなどの汚れは見た目だけでなく、生体たちの健康にも悪影響を与える原因になります。
でも、毎日の掃除は難しいですよね。そんなとき頼りになるのが、水槽を綺麗にしてくれる「掃除屋さん」たちです。
コケを取り除く働きを持つ種類や、食べ残しやヘドロを処理してくれる生物、さらには水草や壁面に張り付いて汚れを食べるものまで、頼もしい生き物はたくさんいます。
例えば、ヒメタニシやミナミヌマエビ、プレコなど人気の掃除屋さんがいますが、それぞれの特徴には違いがあります。あなたの水槽にぴったりなのはどれでしょうか?
この記事では、掃除屋さんとしておすすめの水槽の生物たちをご紹介します。
役割や効果的な対策と同時に綺麗なアクアリウムを維持する方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください!
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水槽の掃除屋さんのメリットとは
水槽の掃除屋さんを導入するメリットには次のようなものがあります。
・コケ取り・食べ残し処理の役割
・水槽の環境維持
水槽の掃除屋さんには、水槽を綺麗にするだけでなく、水槽の環境を維持するメリットがあります。
コケ取り・食べ残し処理の役割
コケや食べ残しの処理は、掃除屋さんが果たす最も重要な役割のひとつです。
コケは観賞魚や水草の健康に悪影響を及ぼし、食べ残しも分解される過程で有害な物質を生成します。
しかし、オトシンクルスやミナミヌマエビなどのコケ取りに適した生き物がこれらを効率的に食べてくれて、水槽の清掃の手間が大きく軽減されます。
さらに、彼らは水槽内の壁面や隅に張り付いて動き回りながらぬめりや残りカスを除去するため、結果として水質が良く保たれるのです。
水槽の環境維持
水質が悪い状態が続くと魚たちはストレスを感じ、病気にかかりやすくなります。掃除屋さんが水槽内の汚れを効果的に処理することで、病気の発生を抑える効果が期待できます。
また、コケが過剰に生えると熱帯魚や水草の成長が阻害されますが、コケ取り生体がこれを食べることで、水槽がより自然で健全な状態を保つことができます。
掃除屋さんはアクアリウムのバランスを整え、きれいで快適な環境作りに貢献する重要な存在なのです。
水槽の掃除屋さんを紹介!
水槽の掃除をしてくれる生態を紹介します。
「魚系」「エビ系」「貝類」「底生魚系」に分けているので、水槽に適した掃除屋さんを見つけてください。
魚系
魚系の掃除屋さんは、主にコケ取りが上手です。
主なコケ取り魚としては、
・オトシンクルス
・サイアミーズフライングフォックス
・プレコの仲間
が挙げられます。
掃除屋さんの中でも特にコケ取りが得意な魚たちは、水槽を綺麗に保つためには欠かせません。
これらの魚種はコケを食べる習性を持ち、水槽の壁面や水草についたコケや汚れを除去してくれます。
これらを適切に選ぶことで、アクアリウム管理がより効率的になるでしょう。
オトシンクルス
オトシンクルスは小型の熱帯魚として人気が高く、温和な性格とコケ取り能力で広く知られています。
この魚は水槽の壁面や水草に張り付いてコケを食べる姿が特徴的で、特に細かい糸状のコケや柔らかいぬめりを上手に除去してくれます。また他の魚との相性も良好で、混泳水槽にも適しています。
初心者から上級者までおすすめできる生体で、エビやミナミヌマエビとも相性が良く、コケ対策の最強メンバーとされています。
一方で臆病な一面があるため、十分な隠れ家や柔らかな水草を用意してあげて下さい。これらの工夫で、より快適に過ごせるでしょう。
サイアミーズフライングフォックス
サイアミーズフライングフォックスは中型のコケ取り魚で、特にしつこいヒゲ状や糸状のコケを食べることで有名です。
この魚は活発で、水槽内を元気に泳ぎ回る様子が観賞魚としても魅力的でしょう。また、食べ残しや汚れにも対処してくれるため、水槽の環境維持に大いに役立ちます。
ただし成魚になると縄張り意識が高くなりやや攻撃的になることがあるので、一緒に飼育する魚との相性には注意が必要です。
ほかの魚を追いかけ回さないようにするためにも、60cm以上の大きめの水槽で飼育すると良いでしょう。
プレコ
プレコは多くの種類があり、大型種から小型種まで水槽のサイズや目的に合わせて選ぶことができます。小型のブッシープレコは初心者におすすめで、主に壁面のコケを食べて水槽を綺麗に保ちます。
一方、大型種であるセルフィンプレコは大容量の水槽で飼育が必要で、力強く壁面や水草の汚れを除去します。
プレコはどの種類も観賞価値が高いだけでなく、その活動量で環境をきれいにする能力に優れています。
ただし種類によって必要な水槽のサイズや餌が異なるため、事前にしっかり調査した上で適切な生体を選びましょう。
エビ系
エビ系のお掃除屋さんには
・ミナミヌマエビ
・ヤマトヌマエビ
があげられます。
エビはアクアリウム初心者から上級者まで幅広くおすすめされる生体です。特にヌマエビの種類は、水槽内のコケや食べ残しをきれいに取り除き、熱帯魚や水草と相性が良いとされています。
以下では、具体的におすすめのエビについて詳しく解説します。
ミナミヌマエビ
ミナミヌマエビはそのメンテナンス能力と飼育の手軽さから、多くのアクアリウムで活躍しています。
このエビは非常に温和で、金魚やメダカ、熱帯魚との相性が良いとされています。
ミナミヌマエビは特に水槽の底にたまる食べ残しやフン、ぬめりを効率的に処理します。また、水草に張り付いてコケを食べる姿も見られます。
小型で繁殖力が高いので、導入後に増やす楽しみもあります。
水温20〜28℃ほどで元気に活動しますが、水質の急変には注意が必要です。
初心者にも非常におすすめの生き物です。
ヤマトヌマエビ
ヤマトヌマエビは、コケ除去において「最強」と言われるほどの能力を持っています。特に壁面や水草に付く糸状コケをよく食べることで有名です。
体がミナミヌマエビより大きくその分食べる量も多い一方で、低温では活動が鈍りやすく、発情期には他の仲間を追いかけることがあります。そのため、多頭飼いする際は注意が必要です。
またすべてのコケを取り除くわけではないので、全体的なコケ対策として他の掃除屋生物も併用すると良いでしょう。
貝系
エビだけでなく、貝もまた水槽の掃除生物として非常に頼りになります。
一般的にお掃除屋さんとして知られているのは
・石巻貝
・タニシ
です。
彼らはコケ取りだけでなく残飯やフン、ヘドロといった厄介な汚れを自然に処理してくれるので、メンテナンスの負担を減らしてくれます。
石巻貝
石巻貝は、水槽内の壁面や装飾品に付着するコケを専門に食べることで知られています。特に黒髭コケのような頑固なコケを処理する能力が高く、アクアリウム初心者にもおすすめの種類です。
この貝は張り付いて汚れを除去する習性があり、水槽を隅々まできれいにしてくれます。ただし、アルカリ性の硬水を好むため、水質が酸性にならないよう注意が必要です。
また貝の多くは雌雄同体なため水槽内で大発生するトラブルが多い一方、石巻貝の繁殖は淡水環境では難しいため、数が増えすぎる心配がない点も魅力です。
タニシ
タニシは水槽内の食べ残しや汚れを処理する「掃除屋」として優れた能力を発揮します。特にヒメタニシはその動きが温和で、水草や魚たちに悪影響を与えることが少ない生体です。
しかし、タニシの糞が水槽内で目立つ場合があるため、適切な数を導入することがポイントです。
また環境が悪化すると放置された卵や成長中のスネールが増えてしまう恐れがあるため、管理は慎重に行いましょう。
元々の掃除効果を十分活かすために、水槽内を適度に観察しつつ丁寧に飼育してください。
底生魚系
底生魚は、水槽の底にたまる食べ残しやフン、汚れを掃除してくれる熱帯魚の一種です。
底生魚には次のような種類があります。
・コリドラス
・クーリーローチ
・ドワーフチェッカーボードローチ
底生魚は、ヘドロやぬめりの原因になる食べ残しを処理する能力を持っており、水槽をきれいに保つ重要な役割を果たします。
特に初心者向けのアクアリウムでは、食べ残しが水質悪化の原因になりやすいため、底生魚の導入は強くおすすめされます。
コリドラス
コリドラスは、熱帯魚の中でも特に人気のある底生魚で、その可愛らしい見た目とともに掃除屋としても非常に有能です。
彼らは主に水槽の底砂にある食べ残しやフンを食べる習性を持っており、砂の中に埋もれた餌も効率的に食べてくれます。そのため、底砂が汚れにくく、水槽全体を清潔に保つことができます。
コリドラスには小型種から大型種まで多くの種類があり、水槽の規模やほかの生体に合わせて選ぶことが可能です。
また性格が穏やかで他の魚やエビとも共存しやすいので、どのアクアリウムにも適しています。
ただし、食べ残し以外の汚れやヘドロなどを完全に除去するわけではないため、定期的に掃除や水換えをする必要があります。
クーリーローチ
クーリーローチは、見た目がウナギのような細長い形状をした底生魚で、水槽の掃除屋としても知られています。
彼らは底砂の中に潜り込むため、砂の内部の汚れをかき混ぜるような働きをします。この動作により、底砂が固まりにくくなり、酸素不足や有害ガスの発生を軽減する対策としても効果的です。
クーリーローチは臆病な性格ですが、しっかりと水槽を観察していれば、砂の中に隠れて活動している姿を楽しむことができます。特に底砂に糸状のコケが発生しやすい場合、クーリーローチを導入すると改善が期待できます。
ただし完全にコケや汚れを除去するわけではないため、ほかの生き物や掃除方法と組み合わせることで、さらに効果を発揮します。
ドワーフチェッカーボードローチ
ドワーフチェッカーボードローチは、小型の底生魚として特に注目されています。体長が小さいため、限られたスペースの水槽や、小型テラリウムにも適した生体です。
彼らは主に水槽底面の残飯やフンを食べて掃除する役目を担います。また、食べ残しが原因で発生するぬめりや油膜の対策にも一役買います。
この魚は比較的珍しい種類ではあるものの、その美しい模様と活発な行動が人気を集めています。ただし、性格がややデリケートなため、初めて飼育する際は、水質管理やほかの生き物との相性に注意してください。
特に攻撃的な魚と混泳するのは避けたほうが良いでしょう。
金魚水槽でも使える掃除屋さんの種類
金魚水槽にはどの掃除屋さんもおすすめですが、特に相性が良いのは次の通りです。
ヒメタニシやミナミヌマエビは金魚水槽のコケやヘドロを食べて、環境を清潔に保つ役割を果たします。
これらの生体は温和で金魚の餌を横取りすることが少ないため、安心して飼育できます。
ただし、水槽の大きさや餌の与え方に注意し、それぞれの生態を理解した上で取り入れるようにしてください。
また、過剰に増殖しないよう、定期的なメンテナンスも忘れないようにしましょう。
エビの導入で配慮する点
エビは非常に役立つ掃除役ですが、水槽に導入する際にはいくつかの注意点があります。
・水質に敏感
・同居する生体の種類に注意
エビは水質変化に敏感な生物です。急激な水質の変化やpHの不安定さが原因で死んでしまうことがあります。
水質のpHは6.5〜7.5程度が理想で、水槽内の水質が悪化するとエビの活動が弱まり、結果的に掃除能力が低下します。
また、大型の魚やザリガニと一緒に飼育すると捕食されるリスクが高いため、同居生体の種類を慎重に選ぶことが大切です。
エサを与える際も食べ残しが出すぎないように調整し、バランスの良い水槽環境を保ってください。
エビは繊細な生き物なので、適切に管理することでその効果を最大限発揮させることができます。
貝類を選ぶポイント
貝類を選ぶ際は、求める効果に応じて選ぶと良いでしょう。
貝の種類 | 効果 |
---|---|
石巻貝 | コケ取りに特化している |
タニシ | 汚れや食べ残しの掃除に適している |
また、貝類は基本的に丈夫な生物ですが、水質変動には弱いといった特徴があります。
適切な水温とpH管理を行い、エサの与え過ぎや水槽の過密に注意してください。
どの種類の貝もきれいで健康的な水槽環境を保つための力強いサポーターですので、積極的に活用することをおすすめします
掃除生物を水槽に導入する際の注意点
掃除生物はアクアリウムで水槽内の掃除を手伝ってくれる便利な生き物です。コケや残飯、フンなどを効率よく処理し、きれいな環境を保つサポートをしてくれます。
ただし、導入の際には注意すべきポイントがあります。
・過密飼育
・他の生き物との相性
・餌やりと掃除のバランス
・水替えを怠らない
それらを理解することで、生体にストレスを与えず健康的な水槽環境を維持することができます。以下、それぞれの注意点について詳しく説明します。
過密飼育
過密飼育とは、水槽内に生体を入れすぎる状態のことです。水槽が狭すぎると酸素不足や水質の悪化が起こりやすくなり、生き物の健康を損なう原因になります。
例えば、60cm水槽なら5~10匹の小型掃除屋が適量でしょう。
掃除生物は食べ残しやコケを処理する能力が高いですが、彼ら自身もフンなどの汚れを排出します。
過密な環境だと掃除生物の力を超えて汚れが蓄積し、腐敗してヘドロやぬめりが発生します。
適切な生体の数を見極め、十分にスペースを確保することが大切です。
他の生き物との相性
掃除生物と言ってもその種類はさまざまで、生体ごとに性格や行動パターンが異なります。そのため、同居する生き物との相性を無視すると争いが発生したり、弱い生き物が死んでしまうことがあります。
たとえば、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは大人しい生き物ですが、大型の魚や攻撃的な種類には襲われやすいといった特徴があります。
一方、プレコやヒメタニシは多くの生き物と共存しやすいので初心者の方にもおすすめです。
導入前には、相性の良い組み合わせを調べることが重要です。
餌やりと掃除のバランス
掃除生物は基本的にコケや食べ残しを食べる習性があり、水槽内の掃除を手伝ってくれますが、それだけに頼るのは危険です。
掃除生物が餓死してしまうのを防ぐために、専用の餌を与えましょう。
たとえば、ヤマトヌマエビにはほうれん草や専用フードを補助的に与えると元気に過ごせます。
ただし、餌を与えすぎると食べ残りが増えて水質が悪化するので注意してください。一週間程度様子を見ながら、餌やりの量を調整すると良いでしょう。
過剰な残飯がないか日々観察を欠かさないようにしてください。
水替えを怠らない
掃除生物がいても、水槽内のメンテナンスを怠ると水質が悪化します。対策として、定期的な水換えを必要に応じて行いましょう。
目安としては週に1回、全水量の3分の1程度を交換するのがおすすめです。
また、適切なろ過装置を設置し、水流を安定させることも有効でしょう。
さらに生き物が食べきれる餌の量を把握し、不要な残飯を残さないようにしてください。
ガラス面や壁面に張り付く汚れはスポンジや専用のコケ取りスクレーパーを使って定期的に掃除するなど基本的なケアを怠らないことで、水槽環境をきれいに保つことができます。
コケが減らない場合の対策方法
掃除生物を導入してもコケがなくならない場合は、原因を探ることが大事です。
糸状のコケや頑固なものは掃除生物だけでは取り除けない場合には、人の手で物理的に取る必要があります。
また、照明時間の長さや水質の悪化が原因になっていることもあります。
水草を増やして余分な栄養分を吸収させたり、時間帯を調整するなどの対策を試してみてください。
さらに強力なコケ対策が必要なら、種類によってはヒメタニシやプレコが最強の能力を発揮する場面もあります。
それらの掃除生物をうまく使い分けましょう。
水を綺麗にする生き物に関するよくある質問
水槽を綺麗にする生き物にはどのような種類がいますか?
水槽を綺麗にする生き物には、エビ(ミナミヌマエビやヤマトヌマエビ)、貝(タニシやヒメタニシ)、やコケを食べる魚(オトシンクルスやサイアミーズフライングフォックス)がいます。
水槽掃除にエビを使う場合の注意点は何ですか?
エビを水槽掃除に使う場合は、水質が良好であることを確認し、大型魚やエビを捕食する生き物との混泳を避けることが大切です。
コケを食べる魚はどのように水槽を綺麗にしますか?
コケを食べる魚は、水槽内のガラスや装飾品、植物に付着したコケを食べることで、見た目の汚れを減らして水槽を綺麗にします。
水を綺麗にする生き物まとめ
水槽の美観や生き物の健康を保つためには「掃除屋さん」の存在が重要です。
コケやぬめり、食べ残し、フン、さらにはヘドロの除去といった掃除の働きによって、熱帯魚やアクアリウム生体たちの住環境を適切に維持することが可能です。
特にミナミヌマエビやヤマトヌマエビ、ヒメタニシ、プレコといった生物たちは、それぞれ独自の方法で壁面や水草に付着するコケを食べたり、底面の汚れをきれいに取り除く力を持っています。
また、金魚やメダカ向けの掃除屋もおすすめの種類がありますので、水槽の種類や飼育する動物に合わせて選びましょう。
掃除屋を導入する際は過密飼育に注意し、水質の悪化や油膜などの原因を作り出さないよう適切なメンテナンスを行うことが重要です。
水槽の掃除屋さんは万能ではありませんが、上手に活用することで手間を軽減しつつ、生き物たちが元気に過ごせる清潔な環境を保つことができます。
コケや汚れが減らない場合は生物だけに頼らず、水換えやフィルター掃除などの取り組みも積極的に行いましょう。
アクアリウムを長く楽しむためにぜひ参考にしてください。